岡谷シルク認証製品を募集します。

●「岡谷シルクブランド」認証制度とは
シルクを活かして開発・創出された岡谷ならではの価値(商品・サービス)を認証する制度です。認証された際の特典として①認証マークの使用 ②商品のPR、販売の支援(岡谷シルクの公式ホームページへの商品掲載するほか、イベントやキャンペーン時に商品の出展など)、がございます。

●募集期間(2月認証分)
令和7年10月1日(水)~令和7年12月31日(水)

●対象商品
【第1類型】 オール岡谷産のシルク製品
※ストール・着物等の純粋な絹織物を対象としております。
【第2類型】 シルク製の衣類、ストール、インテリア等
【第3類型】 桑や養蚕、製糸工程で抽出される成分等が用いられている製品。桑の根を使用した化粧品、シルクパウダーを使用した食品、蚕のさなぎを飼料にして育てたもの等
【第4類型】 シルクを活かした、旅行、体験、学習などのサービス
詳しくは
【①岡谷シルクブランド認証制度 募集要項
【②認証マーク取扱い注意点】をご覧ください。

《左から第1類型、第2類型、第3類型、第4類型》

●申請方法
岡谷シルクブランド協議会事務局へ、下記の申請書等一式をご提出ください。
(1) 岡谷シルクブランド認証申請書(様式第1号)
(2) 申請者概要書(様式第2号)
(3) 商品・サービス等概要書(様式第3号-1、2)
(4) サンプル商品
※一品物につきましては商品の類似性の判断のため、2つご提出ください。
提出先:岡谷シルクブランド協議会 事務局(岡谷蚕糸博物館内 ブランド推進室)

申請書類につきまして

岡谷シルク認証申請書

岡谷シルクブランド認証制度 募集要項

認証マーク取扱い注意点

からダウンロードいただくか、岡谷蚕糸博物館にお越しいただければ紙でお渡しいたします。

▲オール岡谷産 岡谷シルクブランド認証製品

 

●お問い合わせ先
岡谷市役所ブランド推進室(岡谷蚕糸博物館内) 岡谷シルクブランド協議会事務局
電話:0266-23-3489
E-mail:brand@city.okaya.lg.jp

 

日本絹文化フォーラム2025 ~日本の絹文化を未来へ繋ぐ~

今、日本各地では絹産業を支えてきた事業者や地域の人々が、伝統文化を守りながら新しい商品づくりに積極的に取り組んでいます。このような中で、全国的な規模で絹文化に関する講演や情報交換を行う大規模なフォーラムを10/18(土)、19(日)に岡谷にて開催いたします。

多くの皆様にふるってご参加いただきますよう、お待ちをしております。なお、事前に参加申込みが必要となりますので下記の通りお願いいたします。(参加費・テキスト代:無料)

【1日目】
日時:10月18日(土)13時〜17時
会場:カノラホール(岡谷市文化会館)小ホール
内容:

基調講演「日本蚕糸業の現状と今後の課題」(東京 一般財団法人大日本蚕糸会 会頭 松島浩道氏)

講演「養蚕業に生きる」(八王子市 長田養蚕 代表 長田誠一氏)

講演「日本蚕糸業の未来形」(京都市 株式会社KYOTO SILK HUB 代表取締役会長 細尾真生氏)

講演「絹本日本画に導かれる世界–個我からの解放と自らの道–」(岡谷市 絹本日本画家・冬麗社絹絵研究会主宰 花岡哲象氏)

映画上映・講演「森を織る。」(京都市 株式会社森を織る 代表 小森優美氏)

 

 

 

 

 

 

 

 

【2日目】
日時:10月19日(日)9時〜12時
会場:岡谷蚕糸博物館〜岡谷近代化産業遺産
内容:バスにて見学 定員20名 ※無料

 9 :00 岡谷蚕糸博物館見学

10:00 岡谷蚕糸博物館発 → 山上宮坂製糸 → 山一林組・岡谷絹工房 → 丸山タンク
→釜口水門 → 一山カ旧林家住宅 → 岡谷駅 → 照光寺・蚕霊供養塔 → 岡谷蚕糸博物館着

 

【事前申込みについて】
メールまたはTEL、FAXで10月14日(火)までに、お名前・連絡先を下記事務局へお伝えください。
岡谷蚕糸博物館内(日本絹文化フォーラム実行委員会事務局)

TEL:0266-23-3489  FAX:0266-22-3675
E-mail:hakubutsukan@city.okaya.lg.jp

 

本絹文化フォーラム2025

インタビュー記事「シルクで頑張る人」Vol.10を公開しました。

インタビュー記事「シルクで頑張る人」Vol.10を公開しました。

100年以上続く、味澤製絲株式会社の4代目代表取締役社長として、シルクインテリア製品の開発・製造に取り組む味澤宏重氏。

これまで岡谷シルク一筋で活躍され、岡谷シルクブランド協議会では副会長も務められ、岡谷シルクの魅力を伝える活動にもご尽力されてこられました。

今回は味澤社長に、これまでの同社の歴史と、シルクインテリア製品の開発についてお話を伺いました。    

ぜひご覧ください。

https://okayasilk.jp/silkmaker/2544-2/

つくる場をたずねる vol.1「味澤製絲株式会社」

岡谷の市街地から天竜川を越えて、諏訪湖を左手に眺めながら5分ほど車ですすむと「味澤製絲株式会社」という門が右手に見えてきます。この諏訪湖のほとりに工場を構える味澤製絲株式会社は、明治45年に創業した100年以上の歴史ある会社です。平成10年(1998年)まで製糸工場として稼働したのち、現在は主にこれから紹介をするランプシェード等を主力商品としたシルクインテリア製品等の製造・販売業を営んでいます。

人の生活を成り立たせている衣食住。シルクという素材はこの衣食住のうち「衣」に用いられることが多い素材ですが、味澤製絲株式会社では「住」に取り入れるという新たな取り組みを進めています。原料となる繭もすべて国産にこだわり、製糸工場時代から受け継がれている技術を生かして質の高いものづくりに取り組んでおられます。今回は、その製品の製造風景を見せていただきました。

 

 

シルクシェル「絹煌(きぬきらめき)」

生糸を球体の型に巻き付けてつくられる、中に骨組みが入っていないシルクだけでできたシェード。シルクの糸を幾重にも重ね、その糸の重なりの変化によって、その表情はいく通りにも異なります。その円形の形から、あかりがつくとまるでお月様のような見た目で、おぼろげな優しい光がこぼれます。シルクは熱をつたえにくく、熱に強い素材のため、照明を長時間つけていてもあまり熱くなりません。まさにシルクの特性が生かされた照明です。

 

ランプシェード「絹煌(きぬきらめき)」

 

繭殻(Cocoon shell)にちなんでシルクシェル(Silk shell)=シルクの殻という名前がついているとおり、まるでお蚕さまが糸を吐いて作った繭のような見た目をしています。その出来上がる工程も、お蚕さまが繭をつくる原理に似ています。最初に繭から引き出した糸を乾燥せずに濡れた状態のまま、回転している丸い型に巻きつけていくのですが、その糸を引き出して型に巻き付ける様子は、まるで蚕が糸を吐き出して繭をつくっていく様子のようです。

 

 

お蚕さまが頭を八の字に動かしながら、繭を作っていくのに対して、このシルクシェルの場合は、型を回す軸が角度を変えるなどして、その巻く位置と巻き目の表情を変えていきます。型に少しでも角があると糸が切れてしまったり、たるんでしまうため、試行錯誤を繰り返して今の円形のデザインが生み出されました。

 

型に糸を巻いていく様子

 

糸を巻き取る型。糸を巻き取ったあと、シェードの中で分解して取り出す。

 

糸を巻き終わった型ごと乾燥させた後、型を分解してシェルの内側から取り外せば、シルクシェルの完成です。注文を受けてから、丁寧に一つ一つ作られるシルクシェルは、その表情も多様です。天然繊維であるシルクの糸を素材とするため、その製造する環境や湿度次第で微妙な変化が生じてしまいますが、そうした難しさを乗り越えながらも再現性を高めるべく、回転する速度・回転軸の角度・巻き数を調整しながら、多様な模様が生み出されています。複数のシルクシェルを並べるとこの多様な光の模様が目を楽しませてくれます。

 

表情が一つ一つ異なるシルクシェル

 

プレスドシルク「シルクシート」「絹やすらぎ」

薄くシルクの繊維が広がる柔らかい表情のシート。名刺やお品書きの台紙、ランプシェードとして使われています。光沢のあるシルク素材によって、和紙とはまた異なった高級感が特徴的です。

 

ランプシェード「絹やすらぎ」

 

昔から布団の中綿などで利用されてきた真綿と呼ばれる、繭糸のまわりのセリシンをアルカリ液で取り除きワタ状にしたものがありますが、また別の方法でワタ状のシルクをつくる技術が開発され、シルクウェーブと呼ばれています。繭糸がもっている自然なウェーブ(カイコが吐いた8の字状)を生かして、繭から繭糸を引き出す際に糸同士が一本一本分かれるように巻き上げたワタ状のシルクです。

このシルクウェーブを平たく並べ、アイロンをするように水分を少し加えて熱でプレスすると、糸同士がセリシンと呼ばれる成分によって接着されてシート状になります。この技術によって出来上がった「シルクシート」はカットして名刺にしたり、枠にはめることでランプシェード「絹のやすらぎ」になります。

 

手作業でシルクウェーブを平たく並べていきます

 

押し花や紅葉などをワンポイント的にはさみこんだ季節を感じられるシルクシートもあります。このシートに挟み込まれた押し花は、味澤製絲㈱の周辺で育った四季の草花に手作業で色をつけ、押し花にしたものだとか。この諏訪湖のほとりの四季が閉じ込められているようです。

 

シルクシート

 

幸せを呼ぶ『シルク「おんべ」』

この工場の片隅では、シルクで小さな「おんべ」も作られていました。「おんべ」とは、7年目(6年に1回)諏訪地域で行われる御柱祭にて、みんなの力を合わせるときに用いられる道具のことをいいます。「おんべ」を振ることでその祭りにかかわった人々に幸せがおとずれるとされており、とても縁起のよいものです。

味澤製絲㈱の味澤社長ご自身も、これまで御柱祭にて地区の代表として総代という大事な役回りを務められたこともあるとか。そんな地域の文化をつたえるお土産として、キーホルダー「シルクおんべ」がつくられました。シルクおんべは、束になったシルクウェーブに鈴などの飾りをつけて、一つ一つ手作業で作られています。

 

シルク「おんべ」

 

味澤製絲㈱では、製糸業で培った、繭を煮て糸を取り出す技術をシルクインテリア製品の製造に応用しています。シルク糸の間から漏れる灯りの自然な温もりや、さわり心地よさによって、暮らしをより快適に豊かに演出してくれるシルクインテリア。ランプシェードは、ホテルや飲食店など癒しの空間でも広く取り入れられているようです。実際にその制作の背景を知ると、実際に生活に取り入れて、その魅力を味わってみたくなりますね。

 

>味澤製糸㈱の歴史や製品に関する味澤宏重社長へのインタビュー記事

味澤宏重 Azisawa hiroshige  – 岡谷シルク

 

>味澤製糸オンラインショップ

ショッピングー味澤製糸株式会社

 

書き手:地域おこし協力隊 伊東ゆきの(2025年7月)

秋蚕養蚕体験参加者を募集します!

シルクのまち岡谷で、4万頭のおかいこさまの飼育体験してみませんか?
多くの方に、岡谷のシルク文化に触れていただけるよう、今秋も養蚕体験の募集を開始いたします!
おかいこさまの飼育体験とシルクのはた織り体験が1日でまるっと体験することができます!
市内外から、皆様のご応募をお待ちしております!

  • 募集定員:各日6名程度
    2025年9月6日(土) または 9月14日(日)の9:20~16:30頃まで

参加費2,000円(材料費・保険料・お茶代等を含む)

  • 養蚕体験について
    岡谷市内の桑園で桑の葉を摘み、三沢区民農園の養蚕現場にて桑やりを行います。
  • はた織り体験について岡谷蚕糸博物館にて、三沢区民農園の糸を使用したシルクのはた織り体験を行います。
    ※ 中学生以下のお子様がいる場合は、保護者様も同伴でご参加ください。
     未成年者のみのご参加は承っておりませんので、必ず保護者様の同伴をお願いいたします。
  • 事前説明
    各参加者に、事前説明資料の配布を予定しております。ご自宅でご確認ください。募集方法
    メール、電話、いずれも受付可能です。
    募集の際に、お名前(漢字)・お電話番号・生年月日に加え、
    養蚕体験現場の希望日9月6日(土)or 9月14日(日)をお伝えください。
    ※参加のお申込みについては8月1日(金)~8月31日(日)
    9:00~17:00の間にお電話/メールにて募集しています。

TEL:0266-23-3489
MAIL:brand@city.okaya.lg.jp

 

詳細は下記のリンクからご確認ください!
養蚕体験お申込みについて養蚕体験お申込みについて

LAKEHOOD OKAYA 2周年記念イベントに参加します!

7月26日(土)・7月27日(日)の2日間に渡りLAKEHOOD OKAYA にて
2周年を記念したイベントを実施します。
当日の会場内では、BBQイベントが開催されるほか
ワークショップイベントやステージイベントとイベントが盛りだくさんに
なっているので楽しめること間違いなし!
岡谷蚕糸博物館も7月27日(日)13:00~16:00の間
ワークショップイベントに出展しますので皆様ぜひ、お越しください!

また、諏訪湖スマートICの開通に伴いアクセスもしやすい立地になっているので
皆さま是非、お立ちよりくださいね!

当日イベントのチラシも別添にて添付してありますので
詳細はイベントチラシをご確認ください。

ファイバーアーティスト王有慈さん岡谷滞在記

2025年6月〜7月にかけて、ファイバーアーティストの王有慈さんがアート作品制作を目的として岡谷に約3週間滞在されました。作品制作をするかたわら、作品の素材となるシルクを深く知るために、蚕糸博物館にて岡谷と製糸業の歴史を学び、三沢区民農園にて養蚕、宮坂製糸所にて製糸、岡谷絹工房では染織を体験。滞在の集大成として、岡谷美術考古館にて「自然との出会い」をテーマに作品展示が行われました。

今回は、岡谷でのアーティスト・イン・レジデンスを体験された王さんに、これまでの活動や、ここ岡谷のまちでの過ごした感想についてお話を伺いました。

 

作品制作に取り組む王有慈さん

 

素材であるシルクとの出会い

王さんの作品は、シルクファイバーアートという名前の通り、シルクの糸を使った立体的な表現が特徴です。王さんが作品の素材となるシルクに出会ったのは、台湾の大学でファインアートを学んでいたときでした。研究するテーマを考えていたときに、シルクはもっとも古くから人々の生活の中で使われてきている素材であり、その歴史の長さに惹かれて、シルクをテーマとすることに決めたそう。かつて台湾でもシルクは衣服や寝具など、人々の暮らしに多く用いられていましたが、現在ではその文化も養蚕を行うところも少なくなっているといいます。

「天然繊維であるシルクは、生み出すのにも時間がかかる上に、制作工程も複雑であることから、現代の台湾ではシルクの歴史や文化、アートの研究をしている人は少ないです。だからこそ、私がやろうと思いました。」と王さんが語るように、シルクの作品づくりを始めた当初は、シルクの扱い方を教えてくれる先生などが身近にいなかったため、古い文献を探して独学で繭から糸をとる手法を学び始めたそう。最初の頃は適当な繭の茹で時間も温度も分からず、繭から糸がうまく出てこなくてとても苦労をしたといいます。

 

シルクの作品制作を始めた初期の作品『苔』(2020 , 石、絹糸)

 

ところが、大学院時代の東京藝術大学への1年間の留学が、シルクの技術習得と研究を深めることにつながります。東京藝術大学では、シルクに布海苔をつけて、和紙のように立体的な作品を作る手法を教わったり、全国各地の産地でリサーチを行い、効率的に繭から糸を取る方法などを学んでいきました。

 

シルクで表現をすること

「台湾では、お葬式の時、亡くなった人にシルクの服を着せれば、その人の魂は天国に行くことができるという言い伝えがあります。それは、人だけではなく、カイコも同じではないかと私は思いました」と王さんは話します。つまり、人間がシルクの衣を纏うことであの世に行けるように、カイコという生き物も繭というシルクの衣を纏って転生をする。そのシルクを介した二つの生き物の相関関係に、王さんは魅せられたといいます。

「昔からシルクを用いる場面は3つあります。1つは神様と繋がる祭祀の場、2つ目は葬儀、3つ目は葬儀などのセレモニーの装飾として。全ての場に共通するのは、『魂の転生』する場であるということ。このことを最初に知った時、シルクは私が表現をしたいテーマであることに気づきました。」昔の人が行っていた方法で、実際に自分の手で繭から糸を取っていると、最後にサナギ姿のお蚕さまが現れます。このように、生きたものから素材をいただく経験を通じて、昔の人々が、シルクを特別な素材として用いた意味がよく理解され、自らも「命」をテーマにシルクで表現をすることを決めたといいます。

 

作品『葬式服』(2023  ,  絹糸、真綿、金箔)

 

岡谷との出会い

そんな王さんがここ岡谷のまちに出会ったのは、群馬県にある富岡製糸場を訪ねた際に見つけた本がきっかけでした。その本を読み進めていく中で「かつて群馬県からたくさんの糸が横浜に運ばれていたように、長野県の岡谷というまちから横浜にシルクの糸が大量に運ばれていたことを知り、私も横浜と群馬を訪ねた後は、次は絶対に岡谷に行くべきだと思いました。」と王さんはいいます。まさに日本のシルクロードを辿っていくうちに、岡谷のまちに出会った王さん。初めて岡谷に訪れたとき、岡谷蚕糸博物館を訪問して、岡谷のまちでは養蚕が今でも行われていることを知り、アーティスト・イン・レジデンスという形で作品制作をしながら岡谷に滞在することを決めたといいます。

 

三沢区民農園での初めての養蚕体験

今回の滞在期間中、王さんは作品の制作をする傍ら、三沢区民農園にて毎日朝から養蚕の作業に参加していました。4万頭の春蚕を育てている養蚕シーズン真っ盛りの三沢区民農園にて、桑畑で桑の葉を大量に収穫し、お蚕さまに与える作業をする日々。慣れない作業は、さぞかし大変だったのではと思いきや、「本当に楽しかった。もう毎日見るたびにカイコが成長して違って見えるから、毎日でも見に行きたいと思いました。」と王さんは話します。実際に、王さんがお世話をしたお蚕さまの繭の一部は、三沢区民農園のご厚意によって、今回の展示された作品にも生かされています。

 

作品『杼』(2025 , 繭、絹糸、銅線、木) :織機を行き来するシャトルのように、木枝の間を行き来する蚕と、その蚕が生み出す繭とシルクの糸。その蚕やシルクを媒体とした繋がりによって、生まれる岡谷シルク。この作品に使用されている繭と糸は王さんもお世話をした三沢区民農園の春蚕のもの。枝も岡谷絹工房から譲り受けたりんごの枝を使用。

 

「岡谷は自然が綺麗だから、お蚕さまを育てることができる。そして、たくさんの優しい人たちがカイコを育てている様子をみて、すべてはこの綺麗な自然があるから生まれているのだと感じました。」と王さんは語ります。さまざまな側面から岡谷のまちをみて、人々との交流をしていくうちに、今回の作品制作のテーマは、「自然との出会い」に決まったそうです。

 

三沢区民農園にて桑取を行う王さん

 

宮坂製糸所や岡谷絹工房、岡谷蚕糸博物館での出会い

養蚕以外にも、宮坂製糸所では糸とり体験を、岡谷絹工房では染織を体験した王さん。宮坂製糸所で初めて上州式繰糸機を体験して、手足を別々に動かして糸をとることに悪戦苦闘しながらも、繭の煮方や糸とりの方法に新たなヒントをもらったといいます。

 

宮坂製糸所での糸取り体験の様子

 

岡谷絹工房ではりんご染めを体験。冷涼な長野ならではの素材を使った染色を知り、新たな自然の色との出会いに感動したそう。

 

作品『森の遊び』(2025 , 繭、絹糸、林檎の木、樹脂):岡谷絹工房で染色に用いたりんごの枝が作品にも使われています。

 

岡谷蚕糸博物館では、髙林館長とシルクという素材の特性を生かした様々な技術・手法について話をしていく中で、「プレスドシルク」(ワタ状にしたシルクを熱を使ってプレスする手法)という新たな手法にも出会うことができたといいます。さっそく作品づくりにも生かされていました。

 

岡谷蚕糸博物館の髙林館長(写真:左)よりプレスドシルクの手法を学ぶ王さん(写真:右)

 

作品『桑』(2025 , 繭、絹糸、絹本、金絵の具、樹脂):毎日通った桑畑で見た桑の葉が岡谷蚕糸博物館で高林館長から教わった手法を使って表現されています(写真:左)

 

岡谷とシルクについて

今回滞在する中で調査した岡谷のシルク文化を台湾でも伝えていきたい、と語る王さん。実際に岡谷のまちに滞在した感想について聞いてみると、「みんながシルクを通じて繋がっている様子が、見ていて本当に良かった。シルクや養蚕のためにあらゆる人々がこのまちに集まり、協力している感じがしました。シルクのおかげで人と人の距離も近くみえました。」と語ってくれました。王さんの目には、岡谷のまちが「シルクを通じて人と人が繋がるまち」として映ったようです。

 

三沢区民農園での収繭作業の様子(写真中央:王さん)

 

滞在期間の最後には、岡谷美術考古館にて王さんの作品展示会が行われ、ここ岡谷に滞在しながら制作された約10点の作品が新たに発表されました。作品には、王さんが岡谷のまちで過ごした時間や人々との時間が詰まっていました。今回の展示会の様子は、以下の王さんのインスタグラムでも紹介されているので、ぜひご覧ください。

 

主な経歴

台湾出身のファイバー(繊維)アーティスト、王有慈 Wang You -cih。2019年国立台南芸術大学材質創作学系卒、2024年同学応用芸術研究科修士染織専攻卒。2023年には国立東京芸術大学工芸染織専攻の交換留学生として1年間日本滞在し、本の絹糸に関するフィールドワークを行う。シルクを主な研究専攻とし、絹糸と生命の繋がりを探求することを主な創作テーマとする。

Instagram :@silk_cih https://www.instagram.com/silk_cih/?igsh=Mzkyd3VxZjloa25p

 

 

岡谷市では、シルクを通じて、人と人が繋がる機会や学び場の提供を行なっています。岡谷での、シルクを用いたアート作品の制作などのご相談については、以下までお問い合わせください。

【お問い合わせ窓口】
岡谷市役所ブランド推進室(岡谷蚕糸博物館内)
電話:0266-23-3489
E-mail:brand@city.okaya.lg.jp

(書き手:岡谷市地域おこし協力隊 伊東ゆきの、2025年7月)

台湾のアーティスト 王さんの市長訪問

台湾のアーティスト 王有慈さんの市長訪問

 

7月11日金曜日

台湾のアーティスト、王有慈さんが岡谷市での活動を終え、岡谷市長を訪問しました。

 

王さんは、6月から7月にかけての約1か月間岡谷市へ滞在し、養蚕体験等シルクに関する体験を行うとともに

滞在中に繭や糸を使用した作品の制作を行い、岡谷美術考古館での展示を行っていました。

 

今回の訪問では、岡谷市での活動報告、そして岡谷市で自ら制作・展示を行った作品を三点ほど市長へ紹介しました。

 

〈市長訪問の様子〉

 

そして、王さんの岡谷市での活動は、7月12日をもって終了となりました。

滞在期間中、王さんは様々な体験や活動を行い、岡谷市での活動に尽力されていました。

作品を制作しながらの活動はハードなものだったかと思いますが、いつも興味津々で楽しそうに活動する王さんの様子が印象に残っています。

 

またいつか、岡谷市を訪れていただきる日を楽しみにしています。

王さんの活動を、これからも応援しています!

 

 

最後に、王さんの市長訪問の様子がこちらです。

 

■訪問の様子

 

 

■作品を紹介する王さんの様子

 

 

 

インタビュー記事「シルクで頑張る人」Vol.9を公開しました。

インタビュー記事「シルクで頑張る人」Vol.9を公開しました。

今回は、岡谷市地域おこし協力隊OGであり、現在はTINTt株式会社の代表取締役として、

滞在型ワークショップやシルク商品を通じて、岡谷シルクの文化と価値を伝えている、佐々木千玲さんです。

ぜひご覧ください!

佐々木 千玲 Sasaki Chiaki – 岡谷シルク

台湾のアーティスト 王有慈(オウ・ユウ・チー)さんが岡谷で活動しています!

台湾のアーティスト 王有慈(オウ・ユウ・チー)さんについて

 

現在、台湾のファイバー(繊維)アーティストの王有慈さんが岡谷市で活動しています。

2017年から絹糸に興味を抱き、まゆから糸を手作業で取り出すところから作品を制作しています。

 

王さんは、2025年6月13日から2025年7月12日の約一か月間、岡谷市に滞在し

養蚕に関する実地体験を経て、作品制作、そして現在岡谷美術考古館にて作品の展示会を開催しています。

 

三沢区民農園での養蚕体験、宮坂製糸所での糸取り体験、岡谷絹工房での染めの見学など

養蚕にかかわる様々な場所に足を運び、シルクのまち岡谷を体感していました。

 

これらの体験や岡谷のまちの姿から着想を得て、岡谷市での滞在期間中に10点の作品を制作し、

現在、岡谷美術考古館にて作品の展示会を開催しています。

 

詳細は以下の通りです 。

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場所:岡谷美術考古館1F 交流広場

料金:無料(同展のみ)

期間:2025年7月5日(土)~2025年7月10日(木)

時間:10:00~18:00

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ぜひ、お越しください!!

 

 

最後に、こちらが活動の様子です  ↓

 

 

■蚕室での給桑の様子

 

■蚕室での収繭作業の様子

 

■宮坂製糸所での糸取りの様子

 

 

■作品制作の様子