1/19~1/25 岡谷絹工房のきものと岡谷シルク展

この度、岡谷絹工房の小山町子代表が令和7年度「信州の名工」(卓越技能者知事表彰)を受賞したことを記念して、創業140年の歴史を持つ「カネジョウ」で岡谷絹工房会員による手織りの着物と帯の展示会を開催いたします。

着物の一部には岡谷シルクも使用されていることから、岡谷市がブランド化を進めている「岡谷シルク認証製品」を展示するほか、ワークショップも開催します。地域の方々をはじめ、多くの方にシルクと着物の文化に触れていただく機会となればうれしいです。皆様のお越しをお待ちしております。

 

【会期】

2026年1月19日(月)~1月25日(日)10:00~17:30

(初日12:00~17:30、最終日10:00~16:00)

 

【会場】

カネジョウ岡谷本店2階催事場(長野県岡谷市中央町1-11-1イルフプラザ2F)

 

【展示】

・信州の名工、小山町子の手染め、手織りの着物を展示

・絹工房会員による手染め、手織りの着物を展示(岡谷シルクをつかった着物を一部展示)

・岡谷シルクブランド認証製品の展示

 

【ワークショップ】

日時:1月23日(金)24日(土)25日(日)各日11:00/13:00/15:00

人数:各回5名

内容:①すり友禅でトートバックを染めよう ②岡谷絹工房の手織りのシルク生地で帯留めを作ろう

体験料:500円(税込)

申込方法:お電話にて予約受付中 TEL:0266-23-5533(担当:カネジョウ 宮坂)

 

主催:株式会社カネジョウ

共催:岡谷絹工房

後援:岡谷市

 

 

【カイコ学習】お蚕さまの命がうつるランプシェードづくり

岡谷蚕糸博物館では、学校と連携しながら「カイコ学習」の機会を提供しています。「カイコ学習」では、カイコを育てながら、カイコの餌となる桑のこと、カイコの成長する姿や繭から糸をとって生糸とする過程、そして、この地方で栄えた製糸業について学びます。こうした学びを通じて、カイコの命をいただいていることを実感する、そんな学習です。今回は岡谷市立長地小学校5年生のカイコ学習「ランプシェードづくり」の様子を見せてもらいました。

自分たちが育てたお蚕さまの繭を活かして

岡谷市立長地小学校では、例年おもに3~5年生のクラスで岡谷蚕糸博物館と連携したカイコ学習の授業が行われています。今回授業を見せていただいた5年生のクラスの中にも、3年生のころからお蚕さまを毎年育てつづけ、育て方、糸のとり方などすでに知識を持っている生徒さんが多くいました。そこで、この日は応用編カイコ学習の授業として、今年の夏に自分たちで育てた約500頭のお蚕さまの繭を活かしてランプシェードづくりの授業が行われました。

繭を煮るところから始まる、このランプシェードづくりの授業は1時間目から4時間目まで午前中いっぱい使って行われます。今回授業をする岡谷蚕糸博物館学芸員の森田さんともすでに何度も授業をともにしてきて慣れた雰囲気の中、この長大なカイコ学習の授業が始まりました。

煮た繭から糸を引き出す

繭を煮る匂いから岡谷のまちを知る

1時間目の授業は、自分たちが育てた繭を煮るところから始まります。良い糸をとるために重要となるのがこの繭を煮る技術ですが、製糸のまち岡谷にはこの煮繭の技術が昔から大切に育まれてきました。この日は、その煮繭のお手本を森田さんが見せてくれました。

適正な温度を測りながら丁寧に繭を煮ていくと、お湯の中で繭がふっくらとしてきます。繭を煮る匂いが教室中に立ち込めてくると、「ほうれん草が煮える匂いみたい!」「オクラをゆでたときの匂いかな」と匂いに気づいた生徒の皆さんが言葉にして教えてくれました。

「製糸業が盛んな岡谷のまちは、かつて町中でこの匂いがしていたと言われています。まさにこれは岡谷の匂いですね。繭を煮てお蚕さまの命を頂いているので、この匂いをお蚕さまの命の匂いだと表現される方もいます」と森田さんが語るように、繭を煮る匂いから、かつての岡谷のまちの様子をうかがい知ることができます。

糸をカップに巻き取っていく

お蚕さまが吐く糸の長さを体感する

2時間目からいよいよランプシェードづくりに取り掛かります。煮た繭を一人10個ずつ受け取り、それぞれ繭から糸を取り出して紙コップに巻きとっていきます。

まず最初に「実子箒(みごぼうき)」と呼ばれる、稲の穂から作られた小さな箒を用いて糸口を探します。手で引き出そうとしても糸はなかなか引き出せませんが、実子箒で繭の表面を軽く掻くといとも簡単に糸を引き出すことができます。今も製糸工場の自動繰糸機に昔ながらの実子箒が使われている意味がよく分かってきます。

繭から取れる糸の長さを知る

ここからしばらくの間、繭から糸を紙コップに巻き取る作業が続きます。巻いても巻いても繭はなかなか薄くなりません。お蚕さまの繭はとても小さく見えますが、一つの繭からとれる糸の長さは約1,000m~1,500mあるといわれています。「そろそろ疲れてきた子もいると思うけれど、お蚕さまはこの長さの糸を約48時間かけて吐き続けているんだよ」と森田さんがいうように、実際に自分たちの手を使って糸を巻き取ってみると、お蚕さまが糸を吐くときの苦労もすこし分かるような気がしてきます。

繭から長いながい糸が引き出されます

糸を観察する

巻き取る糸をよく観察してみると、糸がチリチリとしていることに気づきます。「糸はどうなっている?チリチリしてみるね。カイコはどうやって糸を吐くか、覚えているかな?頭を8の字に振って糸を吐いていたよね。そうやって八の字に吐くから少し糸がチリチリとしてみえるんだよ」と森田さんが教えると、お蚕さまの吐く糸の秘密に驚く声が上がりました。

糸を素手で切ろうとしてもなかなか切れず手間取っている子もいます。お蚕さまの吐く糸は10~20ミクロンとされ、一本一本は細く繊細に見えますが、まとめると非常に強い糸になることが分かります。

糸を早くとる方法、道具の使い方を考える

3時間目になってくると、糸を巻き取るのに疲れてくる子もちらほらと出てきました。そんなとき森田さんから「秘密の道具があります。どうやって使うか考えて実験してみてね」と、スピンドルと穴の開いた板を渡されました。

スピンドルを横にしてみたり、両手で挟んで火おこしをするように回転させてみたり、それぞれ与えられた道具の使い方を考え、どうやったら早く、そして楽に糸が取れるようになるのか考えます。

製糸業の歴史は、製糸の技術・道具の発展の歴史でもあります。最初はこのスピンドルのように非常にシンプルな道具から始まり、様々な人の知恵が積み重なって今に至る技術と道具が開発されていきました。道具が発明される、その最初の瞬間はこんな感じだったのかもしれません。

出来上がったランプシェード。糸が乾いたら紙コップ(芯)を抜き取ります。

お蚕さまの命がうつる

4時間目まで力を振り絞って、最後の最後まで糸を巻き取り続けると、繭が薄くなり、やがて糸がぷつりと取れなくなる瞬間が訪れます。ここまで糸をとりきるとランプシェードは完成です。こうしてお蚕さまが命をかけて一生懸命吐きだした糸をランプシェードという新たなモノにうつしとることができました。

この生徒のみなさんの思いとお蚕さまの命がうつったランプシェードはこれから地域の老人ホームの方々に贈られるそうです。

お蚕さまの命をいただくこと

糸を取り切った繭の中には、お蚕さまのサナギと脱皮の抜け殻だけ残ります。こうして残ったサナギはその昔、佃煮や魚の餌に再利用されました。「命をいただいて最後まで大切に使いきる。蚕糸業とはそういうお仕事なのです」と森田さんが語るように、蚕糸業では脱皮の抜け殻以外はほぼ全て再利用され、お蚕さまが命をかけて生み出してくれたものが余すことなく活かされてきた歴史があります。

授業の最後に森田さんから「みんなこの最後に残ったサナギはどうする?学校の畑の肥料にすると来年の春にまた良い土に生まれ変わるね」とお話がありました。お蚕さまの命を大切にしてきた岡谷の蚕糸業の歴史を学んだ生徒のみなさんから迷うことなく「土にかえす!」と答えが返ってきていました。

最後に残ったサナギ

 

>その他のカイコ学習の様子はこちらから

カイコ学習の授業に行ってきました。 – 岡谷シルク

 

(書き手:岡谷市地域おこし協力隊 伊東ゆきの、2025年12月)

インタビュー記事「シルクで頑張る人」Vol.11を公開しました

世界で唯一、桑を水耕栽培している企業として話題の株式会社モレラの代表取締役社長として活躍される福島知子氏。

岡谷にある植物工場で水耕栽培された桑から健康食品や化粧品等を開発・製品製造に取り組んでおられます。

今回は福島社長に桑の水耕栽培をはじめるに至った訳や商品の開発についてお話を伺いました。

ぜひご覧ください。

福島知子 Fukushima Tomoko – 岡谷シルク

つくる場をたずねる vol.2「株式会社モレラ」

かつて多くの製糸工場が並んでいた岡谷市川岸の天竜川沿いに、株式会社モレラの植物工場はあります。この植物工場を営む株式会社モレラでは、水耕栽培された桑を用いて、健康食品や化粧品等の開発・製品製造に取り組まれています。今回は特別に、桑を育てる世界で唯一の植物工場の中を見せていただきました。

玄関前に並ぶ水耕栽培の苗から育った桑

株式会社モレラの社屋は一見すると普通の事務所のような建物に見えますが、一枚ドアを開けるとそこにはライトに照らされた桑がずらりと並ぶ植物工場が広がっています。通常、桑の葉は冬になると葉が落ちてしまいますが、この植物工場内は常時、桑にとって最適な成育環境が管理されているため、桑を一年を通じて常に栽培ができるようになっています。工場内で水耕栽培されている桑は、土を使わず屋内で育てられているため、大気や土壌の汚染、害虫等の影響を受けることなく、完全無農薬の状態で育てられます。

水耕栽培されている桑

この工場内で、桑の種を栽培パレットに植え付け、約10~15センチ程度になるまで桑の苗は栽培されます。一定の大きさに育った苗は水耕栽培のできるビニールハウスに移植・定植され、より大きく成長を促していきます。

LED照明の明かりに照らされて育つ桑

水耕栽培と訊くと、大量の水を要するように思えますが、この工場では水が循環されているため使用・排出される水は最小限に抑えられています。照明もLEDのライトが使用されており、最新の設備で電力など使用するエネルギー量も抑えながら、次世代型の栽培方法がなされています。

土に移植されたあとの桑の苗

植物工場の中で育った桑の葉は、太陽の強い紫外線を浴びることなく成長をするので、屋外で育てられた桑の葉に比べて、柔らかく、食べるとほのかな甘みがするのが特徴的です。サラダ、つまり生食でも食べられることから、この屋内栽培の桑の葉は「サラ桑」と命名されました。

この工場内で水耕栽培されたら桑は、収穫されたあとに洗浄・乾燥・粉砕され、お茶や飴などの食品、石鹸やローションなどの化粧品等に加工されていきます。ここからは、桑の葉や根から生み出された㈱モレラの商品を紹介していきます。

食品:桑甘露、飴

水耕栽培された桑には、脂溶性で体内に吸水されやすい特有のポリフェノールがふくまれているため、抗炎症や生活習慣病の予防に効果的とされています。また、食物繊維が豊富で、マグネシムはケールの約5.7倍、カリウムはほうれん草の約4倍、カルシウムも牛乳の約8.9倍という研究結果も出ており、腸内環境改善などにも期待ができるそう。

この水耕栽培された桑の葉を利用したお茶「桑甘露」は、食事前などに飲用することで糖質や脂質の吸収を抑える効果があり、パウダー状になっているため、お湯やお水に溶かして食べたり、ヨーグルトや牛乳に混ぜて食べるのもおすすめです。

岡谷シルク認証製品(第3類型)桑甘露

化粧品

植物工場で桑の種が植え付けられている栽培パレットを持ち上げると、「ひげ根」と呼ばれる、細い毛細血管のような黄色い根が見えます。このひげ根は名前のとおり非常に細く繊細なため、屋外で栽培される桑からの収穫は困難ですが、屋内の衛生管理された環境で水耕栽培を行うことで収穫ができ、根の収穫と食品・化粧品への利用が可能になります。また、新潟薬科大学との共同研究によって、含まれる成分についても屋外栽培の桑は大きく異なり、屋内栽培の桑にはポリフェノールなどの成分がより豊富に含まれていることが明らかになりました。

桑の苗の下部に伸びる「ひげ根」

このひげ根から抽出したエキスを利用してつくられているのが、「沙羅肌石鹸」「沙羅桑フェイス&ボディーローション」。自然由来の肌にやさしい化粧品です。お肌の弱い方や乾燥肌の方に特におすすめです。

岡谷シルク認証製品(第3類型)ボディーローション「沙羅桑」、石鹸「沙羅肌石鹸」

このほかにも、モレラでは現在、桑の枝や蚕沙(蚕の糞)から抽出されたエキスから消臭剤などの開発が進められています。モレラは、桑の根から枝や葉まで、そして桑を食べるお蚕さまの糞まで、桑に纏わるあらゆるものを活用して製品を次々と生み出しており、まさに世界で唯一無二の桑のエキスパートです。

桑は大昔から漢方の生薬としても使われてきましたが、その効用や活用方法についてはまだまだ可能性が無限にある植物とされています。世界で唯一、桑の水耕栽培に挑むモレラの今後の研究と生み出される商品の数々にこれからますます注目が集まりそうですね。

>株式会社モレラ 福島代表取締役社長へのインタビュー記事

https://okayasilk.jp/?post_type=silkmaker&p=2752&preview=true

 

>株式会社モレラ オンラインショップ

モレラ公式ショップさらくわ

 

書き手:地域おこし協力隊 伊東ゆきの(2025年10月)