養蚕
三沢区民農園
日本の養蚕農家は減少の一途をたどり、現在、国産繭を原料とする純国産シルクは1%ほど。岡谷でも1990年ごろに養蚕が途絶えてしまいました。しかし、国産シルクの生産を守り、次世代に伝えていくために岡谷市川岸の三沢区民農園で養蚕復活計画が始まり、2020年に本格始動。春と秋で12万頭のカイコを飼育し、237kgの繭を出荷しました。カイコの餌となる桑は、縄文時代の「広畑遺跡」の畑に広がっています。養蚕が復活したことで、養蚕から製糸、製品化までオール岡谷産シルク製品の開発ができることになったのです。三沢区は世界の製糸王、片倉兼太郎生誕の地。この地から養蚕の伝統を未来へつないでいきたい、と地域のみなさんががんばっています。
製糸
株式会社宮坂製糸所
製糸業全盛の昭和初期、国内に製糸工場は3,300軒ありました。現在は岡谷の宮坂製糸所を含め4軒しか残っていません。(ほか長野県下諏訪町、群馬県安中市、山形県酒田市に現存)その中でいまも手作業で糸繰りをしているのは宮坂製糸所のみとなりました。日本を世界一の輸出生糸生産国に導く原動力となった「諏訪式繰糸機」が現役で稼働している唯一の工場でもあります。2016年から岡谷蚕糸博物館内に併設され、動態展示として実際に生糸を生産している作業を見ることができます。銀河シルク、トルネードシルクといったオリジナルの生糸も開発。日本の織物文化を支える存在として、多くのクリエイターと仕事をしています。
染織
きぬのふるさと岡谷絹工房
岡谷絹工房は岡谷市内(宮坂製糸所)で生産される質感に特徴のある生糸を加工して工房内で手染めし、手織り独特の風合いのある製品を作っています。岡谷市出身の歌舞伎俳優・市川笑野さんの歌舞伎衣裳、国内の有名ファッションブランドの服地、インテリア製品など、織りの技術の高さと表現の豊かさを生かした製品が注目されています。
工房は大正10年(1921)に建築された旧山一林組製糸事務所(国登録有形文化財)にあります。このような歴史的価値のある文化財の大広間にたくさんの機(はた)織り機を並べて織っている光景は、日本国内ここでしか見ることができません。