信州に伝わる防寒着「ねこ」をつくりました
まだまだ寒い日が続く信州ですが、2月のとある日に「ねこ」づくりをしました。「ねこ」とは背中にあてるインナーダウンのようなもので、信州に古くから伝わる防寒着です。背中部分にはお蚕様の繭からつくられた真綿が詰められており、背負うと背中が暖められ、身体中にじんわりとぬくもりが伝わっていきます。寒さの厳しい信州ならではの暮らしの知恵がつまった衣です。

岡谷シルクが詰まった、三沢区民農園オリジナルの「ねこ」
この「ねこ」は、岡谷で養蚕を行っている三沢区民農園の皆さんが、出荷ができない所謂「クズ繭」を用いて手作りで制作をされているオリジナルのねこです。
真綿に用いられている繭は、「くず繭」と呼ばれる、糸にできない不良繭が用いられます。色が悪かったり、繭の形がいびつだったりする不良繭は、糸にすることはできなくても、昔から「真綿」として活用されてきました。不良繭を煮て、精錬をして真綿の状態にし、紬糸や角真綿等として着物や布団などに利用されていました。
この三沢区民農園のねこの真綿にも、岡谷で大切に育てられたお蚕様の繭のうち、出荷できないクズ繭が活用されています。まさに岡谷シルクがぎっしりと詰まった特別なねこです。分厚い半纏のような「ねこ」と異なり、このねこはインナー用なので非常に薄いのですが、中に詰まっている真綿のおかげで身に着けると驚くほど温かく、着ているのを忘れてしまうほど軽いのが特徴的です。

ねこづくりを教わる
この日は雪がちらつく寒い日でしたが、くわくわ養蚕倶楽部のみなさんと一緒に、三沢区民農園さんにこの防寒着「ねこ」のつくり方を教わりました。それぞれミシンで絹の布を縫っていき、真綿を包む本体部分と肩紐を準備をしたあとに、いよいよ中に真綿を入れていきます。
薄い角真綿の状態から少しずつほぐしていくと、真っ白でふわふわとした状態になります。この状態で「ねこ」の布のサイズになるように、二人がかりで真綿を引き延ばしていき、布の中に収めて縫い合わせれば「ねこ」の完成です。朝から夕方までほぼ1日がかりの作業となりましたが、みんなでおしゃべりをしながらチクチクと「ねこ」を手作りするのもまた、楽しい時間となりました。

このねこづくりの次の日は、大雪の日となり、さっそくこの「ねこ」の効果を体感することができました。普段、三沢区民農園の養蚕をサポートしている、くわくわ養蚕倶楽部の皆さんも大切に育てたお蚕様の繭が無駄にされることなく、「ねこ」として身にまとうことができ、とても嬉しそうでした。真綿や「ねこ」という、繭や糸以外の形で岡谷シルクを味わう機会となりました。三沢区民農園の皆さんありがとうございました。
書き手:地域おこし協力隊 伊東(2026年2月)
