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-おかやシルク日記-

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2025.11.27
ニュース

「信州の名工」小山町子氏(岡谷絹工房代表)受賞

長野県では技能尊重の機運を高め、技能労働者の社会的地位の向上を図ることを目的として、毎年、卓越した技能を持ち、その分野で県下第一人者と目されている方を「信州の名工」(卓越技能者知事表彰)として表彰しています。この度、岡谷絹工房代表の小山町子氏が令和7年度「信州の名工」として受賞されました。

 

小山町子氏は、岡谷市出身のテキスタイル・デザイナーで日本各地の織物の振興に貢献した故・宮坂博文氏が平成10年に設立した「岡谷絹工房」の創立メンバーとして手染め、手織りにこだわった絹織物の製造と後継者育成、地域振興活動に長年携わってこられました。

 

作品の特徴としては、糸からこだわった絹織物の製造を得意としており、宮坂博文氏が開発した節のある、あし絹を緯(よこ)糸と経(たて)糸に使用した諸あし紬(もろあしつむぎ)の織り技法を開発されました。節のある糸を経糸に使用すると、機織り機の綜絖や筬を糸が通りづらくなるため、設計と織りの技術の高さが必要となります。独自に開発したあし絹を生かし、高い技術力で手織りした諸あし紬は「おかや絹」として平成17年に中小企業庁のJAPANブランド育成支援事業に採択され、国内のほか海外では仏・パリの「メゾン・エ・オブジェ」に出展されました。

諸あし紬は、着物、ジャケット、ネクタイ、小物など生活を彩る絹織物として製品化され、侘び寂びを感じる独特の風合いが多くの人に好まれており、岡谷市観光協会推薦のお土産品としても認定されています。

2014年には他界した宮坂博文氏の後継者として「岡谷絹工房」の代表に就任され、着物や帯のほか、高級紳士服メーカーやアパレルメーカーのジャケット生地、国立歴史民俗博物館の展示衣裳、歌舞伎衣裳など多岐にわたる依頼に対し、デザインから設計、染め、機織りまで自らが主導して制作に当たってこられました。

 

また、後継者育成として毎年新規の研修生を受け入れ、岡谷絹工房の創立から約200人あまりの人たちに指導してこられました。岡谷絹工房の活動場所の旧山一林組製糸事務所は国登録有形文化財であり、岡谷市の絹文化遺産として見学者や機織り体験、シルク関連のイベントの対応も担っておられます。2021年からは岡谷市が進める「岡谷シルク推進事業」にも協力。ワークショップや製品開発にも関わっています。

長年、岡谷絹工房の代表として染織の技術だけでなく、シルクの歴史と文化を次世代につなぐ大切な役割を果たしてこられた功労を称え、この度信州の名工として表彰される運びとなりました。なお、受賞記念として岡谷絹工房にて小山町子氏の作品展示が行われています。ぜひこの機会にお越しください。

 

◉受賞記念「岡谷絹工房の仕事・小山町子の染めと織り」作品展開催<入場無料>※着物と帯の展示は終了しております。
会期:2025年11月4日(火)〜 12月21日(日)
会場:岡谷絹工房
岡谷市中央町1-13-17 旧山一林組製糸事務所内
お問合せ:TEL:0266-24-2245(岡谷絹工房) 開館日:火・土・日 9:00~16:00

 

 

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